プロになるには、自分に合った方法でアプローチしよう
昔は投稿や持ち込みからプロの漫画家になる道がほとんどでした。
その他には、同人活動から始まって商業誌の漫画家になる方や、創作の同人活動で生計を立てている方もいます。
※ 同人活動とは、個人や同じ趣味の集まりが創作をしたり、自費でCDや本などの発行をしたりする活動です。
プロになってからも、 趣味で二次創作の同人活動を続けている方や、ご自身の商業作品の番外編を自費出版されている方もいますね。私が大好きな漫画家さんのなるしまゆり先生もその一人で、商業誌の連載が終了した後、その後のエピソードを自費出版されていました。
購入できた時はめちゃくちゃ嬉しかったです!
現在では、SNSで広まり書籍化……というパターンもとても多くなりましたね!私が購入した漫画の中にも、SNSから書籍化したものが何冊かあります。
Kindleインディーズマンガという、無料で漫画を公開しビュー数に応じて分配額が得られるサービスを使って個人出版されてる方もいます。
成功事例としては、ぬこー様ちゃん先生の漫画が有名かと思います。
発信力やコミュニケーション能力の高い方は、ウェブサイトやSNSに作品を公開したり、人との縁を繋げて行くとチャンスも得やすくなるかと思います!
ただし、SNSやWebには、向いてる絵柄や作品の質・性格というものがあります。もしSNSで作品を見て貰え無くても、「いいね」や「お気に入り」、コメントが貰え無くても自信を失わないでください。
魅力的な作品を描かれるのに自信を無くしてしまう方を見ることが度々あって悲しくなります。
王道は持ち込み&投稿
色々なアプローチの方法がありますが、やはり王道は出版社への持ち込みや投稿かと思います。
少年向け、少女向け、青年向け、女性向け、成人向け、動物好き向け……
世の中には読者層の異なる雑誌や漫画関連のサービスが沢山あります。
挙げたジャンルの中でも、作品の雰囲気などでさらに細かく分類されます。
出版社ごとにも違った色があると思います。
本がだんだん売れなくなってきてはいますが、新しい面白い漫画は常に求められていますし、描き手を求めているWebサービスもあります。
あなたが描いたものを見て欲しいと思える場所や合っていると思う場所を探して、先ずは描き上げて持ち込みや投稿をしてみてください。
あなたの漫画の光る部分が読んだ人の目に留まる場合や、今後の成長を見込んで声をかけて貰える場合があります。
描き上げること、人の目に触れること、アドバイスを貰うことが成長につながりますので、早すぎることはありません。
ここ超重要です。
本気で漫画家になりたい場合は持ち込み
本気で漫画家になりたいと思っている場合は、持ち込みがお勧めです。
持ち込みの利点は下記の通りです。
- その編集者さん目線の意見を直接聞くことができる
- 作品だけではなく自分自身を知ってもらうことができる
- その場で具体的な話を進めることができる
現在(2023年1月)はコロナウィルスが流行しておりますので、持ち込んで良いものか悩ましいですよね。
ですが、平時であれば完成したものは持ち込みするのがお勧めです。
どちらにせよアポイントはとる必要がありますので、持ち込み可能か確認してみてください。
その編集者さん目線の意見を直接聞くことができる
持ち込みのメリットの一つめ。編集さんの目線からの具体的な意見を貰えたり、こちらから質問することができます。
投稿でも批評のシートを返送して貰えるところもありますが、特に投稿数の多い少年漫画ではほどんどの作品が意見を貰うことができません。
きついことや納得できないことを言われる場合も多いかと思いますが、言われたことをすべて呑んだり酷い態度に落ち込む必要はありません。
人によっても、雑誌の傾向によっても意見は全然違ってきます。
自分に必要な意見かどうか、自分にとってプラスにできる方向に判断してください。
持ち込みした先で頂ける意見は芸術作品や純粋な娯楽として見た意見ではなく、担当する雑誌に掲載する商品として見た意見です。この2つは一致する部分もありますが根本的に違うものです。
それにタイミングが悪かったりすればまともに読んで貰え無いかもしれません。
頑張って描いた大事な原稿ですので複数社に持ち込んで意見を貰うのが良いと思います。
相手の言葉や態度に納得できないことがあっても、自分の為に仕事の時間を割いてくれていること、自分はまだその人(会社)に対して利益になっていないことを念頭に置いて、失礼にならないように気を付けましょう。
これからお仕事の取引先となるかもしれない相手に、営業をしに伺っているのですから。
とは言え酷いことを言われれば傷つくのもムカつくのも当然なので、態度に出さず心の中で呪いましょうね!
作品だけではなく自分自身を知ってもらうことができる
作者自身のキャラクターや生き方の面白さ、特殊な経験等を知ってもらうことで、持ち込んだ作品だけではなくこれから作る作品の話しに繋がる場合があります。
それに、どんなお仕事でも相手と顔を合わせて話し合うことは良い関係を築いてゆく上でプラスになります。
例えば、顔を知らない相手には無理難題を平気で押し付けてくる人も顔を合わせた相手には適切な対応をしてくれる……場合があります、人によりますが。
キャラクターがどうとられるかは相手によるので、自分を隠す必要はないと思います。
最低限、自分なりに失礼のないようには気を付けてくださいね。
迷惑をかけたり自分を知ってもらう前に印象を落とすことが無いよう、ちゃんと事前にアポイントを取って伺ってください。
遅刻は絶対にダメですよ!
その場で具体的な話を進めることができる
持ち込んだ作品に関する話や、今後の話をその場ですることができます。
こちらからの質問もできるので、得られる情報もより多くなります。
もし今後の作品作りやお仕事のお話ができれば、行動は早いに越したことはありません。
その場で約束事や連絡先などの確認をして、即行動しましょう。
勿論、話し合いの中で自分が漫画を預けたい場所ではないと感じた場合は無理にお話を進めなくて大丈夫です。
持ち込みで気を付けたいことまとめ
- 事前にアポイントをとろう
- 言われたことを全部呑まなくて大丈夫
- 自分なりに、失礼にならないように気を付けよう
持ち込みは緊張すると思いますが、頑張ってくださいね。
持ち込みできない場合は投稿しよう
地方に住んでいる場合や、直接持ち込むのが怖くてたまらないなど、持ち込みできない場合は投稿という手もあります!
投稿は持ち込みより気軽に行えるかと思います。
雑誌やWeb上で常に募集がありますし、地方からでも障壁が無いのが良いですね!
投稿をした場合、以下のような良い点があります。
- 入賞すれば賞金の獲得や雑誌への掲載の可能性がある
- 作品と共に詳細な批評を書いたシートを返送してくれるところもある
- 参加者全員へのプレゼントをくれるところもある
- 入賞できなくても、担当さんが付いてくれる場合がある
完成原稿だけではなくネームで応募できるところなど規定も様々で、色々な募集を見たことがあります。
プロを目指している方以外も賞金獲得の可能性がありますので、もし未発表のまま寝かせている原稿があれば応募してみるのも良いと思いますよ!
入賞すれば賞金の獲得や作品が掲載される可能性がある
大きな賞が取れれば、すぐにプロになれる可能性があります。
賞金や掲載の有無などは、応募先によって違います。
雑誌で毎月募集しているところや、ジャンルを隔てずに行う大規模な募集などもありますので確認してみてくださいね。
なかなか賞が取れずに悩んでいる方は、応募先の変更や持ち込みを検討してみてください。
応募先の傾向に合わない場合、良い作品でも良い評価に繋がらない場合があります。
例えば私の場合、ある少女漫画誌に4コマ漫画を投稿した際、「読者層が10代後半~20代前半なので、もう少し大人なエッセンスがあった方がいいです」というようなコメントを貰いました。
応募先のメイン読者層を考えた作品作り、または自分の作品にあった漫画雑誌に投稿するようにしましょう。
また、応募した作品がきちんと読んでいただけているかはこちらから確認することができません。
募集の規定に沿っていない、原稿の使い方に間違いがある、表紙が表になっていない……など、小さなことで読んで貰え無い可能性があります。
読んで貰え無ければどんなに良い作品も埋もれてしまうので、応募の場合は特に規定や原稿の使い方に気を付けてくださいね。
余裕があれば、念には念を入れて印刷に出ない部分やベタのムラなどもある程度綺麗に整えておくのも良いと思います。
大事な原稿なので、できる限りちゃんと読んで貰えるよう丁寧に送り出しましょう。
次項で記載しますが、批評のシートを原稿と共に返送してくれるところもあります。
丁寧に読んで頂けますし、為になるアドバイスも頂けますよ。
詳細な批評を書いたシートを返送してくれるところもある
少年漫画の多くでは、批評されるのは受賞作品だけというところが多いです。それに対して、少女漫画では受賞していなくても批評を書いたシートを送ってくれるところが多いです。
批評は、お手紙のような文章で送ってくれる場合や、チェックシート形式の細かい評価とコメントをくれる形が多かったです。
自分の弱点や伸ばすべき部分に気付けたり、評価の変化に成長を感じることができるのでとてもありがたいです。
参加者全員へのプレゼントをくれるところもある
これも、少女漫画誌で多いです。
私が応募していた時は原稿用紙や漫画の描き方の参考の冊子、文字のサイズを確認するシート、スクリーントーンなどを貰いました。
漫画を描き始めたばかりの子を応援してくれてる感じのセットです。
特に対象年齢が十代以下の少女漫画は若い感性が活きるので、若い描き手の育成に力を入れている印象があります。
「実力がついてから描こう」と思っているとチャンスも成長する機会も逃してしまうかもしれません、頑張って作品を描き上げてどんどん投稿した方が良いと思います。
入賞できなくても、担当さんが付いてくれる場合がある
入賞に至らなかった場合も、担当さんが付いてくれる場合があります。
その後はアドバイスを貰いながら作品を描き上げて、一緒に賞取り&デビューを目指すことになります。
私も仕事をしながら少しずつ描き上げた漫画を投稿し、週刊少年誌で担当さんが付いてくれたことがありました。
その時投稿した漫画は本当に絵も内容もダメなところばかりで改めて見ると恥ずかしいくらいなのですが、それでも良い部分を見つけて声をかけてくれたのだと思います(たぶん)。
なので、「上手くなってから描こう」は本当に勿体ないです。
描いて投稿した方が良いです。
勿論担当さんが付いたからと言ってデビュー確約ではないですし、上手くいかない場合もあります。
そこでデビューまで行けなくても、それを糧にして次のチャンスを掴めるようにがんばって下さいね!
投稿で気を付けたいことまとめ
- 自分の作品が応募先に合っているか検討し、合わない場合は応募先を見直そう
- 「上手くなってから」ではなく今描き上げて投稿しよう
- ちゃんと読んで貰えるように丁寧に送り出そう
投稿は相手の顔が見えない分、送るときには気を使った方がよいかなと思います。
最後に
漫画を描き上げるって本当に、本当に大変なことなので、それを完成させられることはそれだけで凄いことだと思います。
先ずは描き上げたことに自信をもって下さいね!