トレース・模写で絵の練習 | 初心者さん向け

私は小学生の頃、「赤ずきんチャチャ」という漫画の絵が大好きで、コミックスの表紙をノートにまねっこして描いて楽しんでいました。

練習しているつもりは無かったのですが、結果的に描けるものが多くなって、絵を描くのがさらに楽しくなったと思います。

トレースとは絵や写真をなぞって描き写すこと、模写とは絵や写真を見て描き写すことです。

大人になった今、練習としてのトレース・模写について改めて考えてみました。

トレース・模写の目的

全くの初めてでも、絵を描く楽しさを味わえる!

小学生の私が、白い紙に「赤ずきんチャチャ」をただ描いてみても、思うように描けずしょんぼりしてしまったかもしれません。
ですが、トレースや模写をするとプロの絵に近いものを自分の手で生み出す楽しさを味わえます!

ちなみに私が大好きな赤ずきんチャチャはこちらです、とってもかわいいでしょ!

絵を描くための目を養える!

まねっこして描く為には、元の絵をよく観察する必要があります。

元の絵はどんな形の線を描いているのか、自分がまねっこしたものとどこが違うのか、よく見比べて描いたり消したりすることで、だんだん線や物の形をとらえる力がついてきます

作品のこだわりや魅力を知れる!

「神は細部に宿る」という言葉があります。その作品の魅力を高めているのは、細かいところへのこだわりだったりすると思います。
でも、ただ観ているだけじゃあそのこだわりに気付くことは難しいです。
そこで、トレースや模写をすることによって、その細かい魅力・こだわっている部分に気付きやすくなります

例えばドラゴンボールやアラレちゃん、ドラゴンクエストで有名な鳥山明先生は、機械を描くときに尖った部分を作らず、丸みを帯びた絵にしているようです。そうすることにより、まるで機械が生きているような温かみを感じます。例えばこの車、生き物みたいじゃないですか?

次はBØYや無頼男 -ブレーメン-、カウンタックなどで有名な梅澤春人先生の描いた車です。こちらは逆に直線的で車のメカニック感が強調されてすごくかっこいいです。

機械を機械らしく描くことも魅力です。生き物のように描くこともまた魅力です。魅力を高めるための引き出しをたくさん持つことによって、自分の作品作りに生かすことができると思います。

トレースで練習する方法

本当にこれから絵を描き始めます!という方はトレースから入るのがお勧めです。

アナログの場合、もとになる作品の上に白い紙を置いて、透かして描き写します。
よく見えない場合は、窓に当てて太陽の光で透かしたりします。でもそれだととても描きづらいと思います。

その場合、トレーシングペーパーという紙を使ったり、トレース台という道具を使ったりします。

トレーシングペーパーは、トレースすることを目的としたよく透ける薄い紙でこういうものです。

トレース台は、下から光をあてる台です。普通の紙でも透けやすくなります。
リンク先でイメージを見てもらうとわかりやすいかなと思います。

デジタルの場合は、元絵の透明度を低くし、上に重ねたレイヤーに描きます。

模写で練習する方法(オススメ!)

1つ目は、模写したい作品を横に置きシンプルに見て描く方法です。

2つ目は、模写したい作品と、これから描く紙それぞれに等間隔の線を引き、その線を基準として描き写す方法があります。基準線があると位置を確かめながら描くことができ、全体がゆがんだりしづらくなります。

例として、下の絵に基準線を引いて模写してみます。

模写したい作品がこちら

模写したい作品と白い紙に基準になる線を描きます。

基準になる線を引きます
同じ間隔で線を引いた白い紙

この基準線で位置を確かめながら模写してゆきます。

模写したイメージ

模写はトレースより難しいですが、その分、もとの作品をよく見て描くことができますし、完成した時の達成感も大きいです。初心者さんはもちろんですが、すでに絵が描くことが好きな方にもお勧めの練習方法です。

最後に

トレースとか模写ってやっちゃ駄目なことなんじゃないの!?って思う方もいるかもしれませんが、これ自体は悪いことではありません。

もとにするのが他の人に著作権がある作品の場合、公開するのは駄目なことです。
プロのイラストをトレース・模写した、SNS上にあるファンの方の作品が問題にならないのは、権利者の方がお目こぼししてくれているだけなので、「厳密には良くないこと」だということは知っておいた方が良いと思います。

また、自分で撮った写真を模写・トレースすることは問題ありません。ただし、写っている人物の肖像権や、物の著作権には注意してくださいね!