たびたび話題に上がる「パクリ」問題
創作界隈では繰り返し「パクリ」についての話題があがり、あっちこっちで議論が始まります。
「何故駄目なのか」
「どこまでなら良いのか」
「パクリとオマージュの違いは何か」
「トレースじゃなければ良いのか」
「二次創作はパクリにあたらないのか」
……などなど。
この辺りの疑問について、以前イラストレーターの中村佑介先生がTwitterで質問を受け、ご自身の考えを回答されていました。
中村佑介先生のツイートがとてもしっくりきたのでご紹介
Togetterにまとめて下さった方がいましたので、リンクを貼らせて頂きます。
イラストレーターとして、特にこれから創作の道を行く人の為に書いてくださった文章と感じました。
それぞれの意味の違いの説明、パクリ被害を受けた方へのメッセージなど丁寧に回答してくださっています。
個人的にはとてもしっくりくる内容でしたので、沢山の方に知って欲しいなーと思っています。
リンク先の最後にもありますが、中村先生はこういったお話を書籍にもまとめられています。
パクリとは何か……といった論題について、他に私が語れるようなことは特に無く「リンク先を読んでね!」で終わってしまうのですが……身近にあった、自分が「パクリ」に関してモヤっとした出来事のことなどを書きたいと思います。
身近であった出来事
①私のイラストを別の人が勝手に使ってる…!
過去に別のアカウントで活動していた時、私が描いたイラストを別の方がTwitterに投稿しているのを発見しました。
その日、私のタイムラインではちょっとしたお祝いで盛り上がっていて、お祝いコメントと一緒にイラストを投稿している方が沢山いました。私も皆さんのイラストお祝いイラスト見たさにホクホク巡回していたのですが……その中にあったのです、ついさっき私がpixivに投稿したイラストが。
自作発言をされたわけでは無いのですが、無断転載されるのはかなりイヤな気持ちでした。
ただ、この時は楽しいお祝いムードに水を差したくない思いと面倒事を避けたいものぐささから、特に何も行動しませんでした。
私が見たのは1度きりのことで、そんなに悪意を感じるものでは無かったので、結果的には「嫌なことをしてくる他人に自分の時間を使うことをし無くて良かったー」と思っています。
お祭り騒ぎに乗じて1回使われただけでも嫌なのに、繰り返し盗用されたり、自作発言をされたりするのはどれだけ辛いことかと思います……
②「これ絶対パクリですよ!」にモヤり
あるカードゲームのイラストを見て「これ絶対逆転裁判のパクリですよ!」と言った子がいました。
茶色の軍服のような衣装で、指さしポーズをした男性の立ち絵です。
私にはとてもそうは思えなかった為、どうしてそう思うのか聞いてみたところ…
「えー見たらわかりますよ!
この女の子の絵もディズニーのパクリだし…このゲームパクリだらけですよね!」
との返事。
金髪に水色のワンピース、白いニーソックスを履いた、不思議の国のアリスがモチーフのキャラクターです。
それをパクリとは思わなかった為驚きましたが、どうやら「自分の知ってるアレに似てる!」と直感的に感じたことを軽い気持ちで言ったようでした。
その子にとっては指さしポーズの原点が逆転裁判だったのではないかと思いますが、その前に笑うセールスマンも幽助もJOJOも名探偵も……数えきれないくらい沢山の人やキャラクターが指さしポーズをしています。
後から知ったことですが、アリスのカラーリングは白黒から始まりいくつかのパターンを経ており、原作者の生前から青い服のイメージが存在していたそうです。
私も過去に「この歌〇〇のパクリだ!」と思ったら実はパクリと思った方が元歌で、私が知っている歌の方がパロディだったという恥ずかしい出来事がありました。
こういった勘違いがもし描いた本人の耳に入ったら、勘違いで相手を責め立てたら、相手が傷ついてしまうかもしれません。
「知らない」ということの怖さや思い込みの怖さを感じました。
また、ある人から見ると「あの作品のオマージュだな」「あの作者をリスペクトしてるんだな」と感じられる作品でも、『似てる=パクリ』と悪くとらえてしまうとその作品の良さが見えなくなってしまいますので、思い込みで視野を狭くするのは勿体ないなーとも思います。
③パクリと思われないか気にし過ぎて絵が描けない!
子供の頃読んでいた漫画の作者さんが、パクリ問題で炎上しました。
内容は他作品のトレースで、多くのシーンがWeb上で検証されていました。
プロでもしてしまうんだと、何かを創り出すということはそれだけ難しいことなんだなーと強く感じた出来事でした。
この出来事から「パクリと思われないか」がとても気になるようになり、一時期は「資料を見て描くのが怖い」「他の作品の影響を受けるのが怖い」といった状態になりました。
さらに「練習や自分で撮った写真であってもトレースはいけないことなのでは」…と「トレース」という言葉自体も悪いイメージになってしまいました。
この気にしすぎの状態は時間をかけてゆっくり緩和されてゆきましたが、今思えばこの期間は本当に勿体なかったなーと思います。
資料も観ず色々な作品を知らない、引き出しの何もない人が新しいものを生み出せるわけないんです。
それに「トレース」という言葉自体は単なる技法で、絵の練習にも良いものですし、写真をベースに作品作りをすること自体も問題ではありません。
今回問題となったのは、他の人の絵や写真をトレースしたものを自分の作品として出したことですので、私の心配の仕方は全く見当違いでした。
色んな情報を吸収して、色んな作品の特徴や素晴らしさを知って……といった自分の創作の基礎を作る為の機会を大きく失ってたように思います。
できるだけ、自分の為になる選択を
身近にあったパクリに関する出来事を振り返って、一時の感情に流されず何が自分の為になるかを冷静に考えて行動できるようになりたいなぁと、改めて思いました。
自分の絵がパクられた、大好きなクリエイターさんの絵がパクられた、パクっていないのに疑いをかけられた…といった出来事はとても心を揺さぶられます。
相手に対し懲罰感情も湧きやすいように思います。
でもそれが本当に白か黒かを証明するのは、そのままの盗用やトレースなど明確な証拠がある場合を除いてはとても難しいことです。
その相手に時間を使うより、どんどん作品を作ってどんどん成長してゆくことに時間を使った方が自分の為になるのではないかと思いました。
でも悪質&明確な証拠があって経済的な損失も被ってる、戦える気持ちもある…なんて場合は戦うの勿論ありです!
ちなみにこちら、ぬこー様ちゃん先生がイラスト窃盗犯をコテンパンにした時のことを描かれた漫画です。
無料で読めますし面白いので、戦った例としてもおすすめです。
ちょっとぬこー様ちゃん先生が強すぎて同じように戦うのは難しいと思いますが。
皆、パクリ問題に負けずにどんどん絵描こうね……!